投稿者「admin-editor」のアーカイブ

広島修学旅行から三月の平和スピーチへ

五月の広島修学旅行と三月の平和スピーチ。雙葉では、この二つが一年間の平和学習でつながっています。

2026年五月、中学三年生は最初に宮島で舞楽「蘭陵王」を鑑賞しました。広島では語り部の話を聴き、資料館を見学しています。最終日は世界平和記念聖堂の祈りの集いに参加し、神父の体験談を聴き、聖歌と皆で折った千羽鶴を捧げました。

学校の進路ページには、中学三年では広島への修学旅行にちなんだ学習を通して、自分を取り巻く社会や世界に目を向ける、とあります。現地で知った出来事を覚えるだけではなく、自分が暮らす今の社会まで考えるのが雙葉の平和学習です。

前の学年が2026年三月に行った平和スピーチでは、原子爆弾、相互理解、多様性などから、生徒がそれぞれ題材を選びました。中学三年生の代表が、中学二・三年生と保護者の前で話しました。同じ広島修学旅行から始まっても、発表の題材は一つにそろいません。

修学旅行は五月の三日間ですが、平和学習はそこで終わりません。広島で人の話を聴いたあと、それぞれが平和について考え、三月にはその学年の代表が自分で選んだ題材を話します。広島へ行くことより、帰ってから考える時間の方がずっと長いのです。

雙葉中学校・高等学校「トピックス」/雙葉中学校・高等学校「進路」

祝儀袋まで書く書道

雙葉の書道では、半紙に字を書くところで終わりません。色紙や短冊の作品に加えて、手紙、はがき、祝儀袋、芳名帳の書き方も学びます。学校の教科紹介に、そこまで具体的に書かれています。

祝儀袋や芳名帳は、ふだん何度も使うものではありません。しかし、いざ書くことになると、どこに何を書くのか、どのくらいの大きさで書けばよいのか、案外迷うものです。見本を写せば済むように見えても、名前は自分の手で書かなければなりません。

書道というと、きれいな字を書く授業を思い浮かべます。雙葉が目を向けているのは、その先です。手紙を出す、人を祝う、受付で名前を書く。社会に出てから出会う場面まで、学校の授業の中に入っています。

高校の選択授業では、楷書、行書、草書だけでなく、隷書や篆書、仮名、篆刻、刻字、近代詩文書まで扱い、半切大の表装作品も完成させます。日常で使う文字から、古典を学び、自分の作品を仕上げるところまで続いていくのです。

私は、実用と芸術を分けていないところがおもしろいと思います。祝儀袋の小さな名前も、表装する大きな作品も、同じ自分の手で書く文字です。教養は、知っているだけではなく、必要なときに使えるところまで。雙葉の書道は、そのことをよく表しています。

雙葉中学校・高等学校「教科の特色」

雙葉理科、「同じ速さ」で答えが逆になる

「同じ速さ」でも、何を同じにするかで答えは逆になります。2026年度の雙葉理科大問1は、ループコースターの形から始まり、水の入ったバケツを回す実験へ移りました。半径と回転の速さが、遠心力にどう関わるかを確かめる大問です。

実験では、回転の半径を0.9メートルと1.1メートルに分け、一回転にかける時間を少しずつ延ばします。半径0.9メートルでは1.8秒なら成功し、2.0秒で失敗。1.1メートルでは2.0秒まで成功し、2.2秒で失敗しました。同じ時間で一回転するなら、半径が大きい方が遠心力は大きい、と読めます。

ところが、次の設問では「回転する速さ」を一秒に進む距離へ置き換えます。0.9メートルの円を1.8秒で回す速さは毎秒3メートル。同じ毎秒3メートルで半径1.1メートルの円を回すと、一回転は2.2秒になり、表では失敗です。速さをそろえた途端、半径が小さい方が遠心力は大きくなる。

数字は同じ表にあるのに、結論がまったく反対になる。違うのは、比べるときに固定したものです。一回転の時間をそろえれば、半径が大きいほど一秒に進む距離も増えます。毎秒の距離をそろえれば、半径そのものの違いが残る。私は、ここがこの問題のおもしろいところだと思います。

最後は、円運動へ入るときの半径を大きくし、少しずつ小さくするループの形へ戻ります。公式を当てるだけなら、ここまで話は動きません。「同じ速さ」という短い言葉の中身を変え、実験の表からコースターの形まで説明させる。この大問は、条件を読むこと自体を問いにしています。

雙葉中学校・高等学校「入試案内」
2026年度雙葉中学校「理科問題」
2026年度雙葉中学校「理科解答」

山羊の散歩

雙葉の中学一年生は、七月、二泊三日で蓼科へ行きます。そこで行うのが、山羊の散歩、牛のブラッシング、搾乳です。山羊を眺めるのではなく、実際に連れて歩く。牛の説明を聞くだけではなく、自分の手で世話をする。なかなかおもしろい夏期学校です。

都会で暮らしていると、牛を近くで見る機会すらほとんどありません。まして、ブラッシングや搾乳となれば、家族旅行で簡単にできることでもないでしょう。同じページに残る以前の紹介では、畜産実習を通して命の尊さや環境問題を学んだとも書かれています。実際に動物に触れたからこそ、考えられることがあります。

ただ、牧場だけで三日間を過ごすわけではありません。山道を歩き、諏訪太鼓の実演を見て、和紙の里ではうちわを作ります。自然、動物、その土地の文化。いろいろなものに実際に触れる内容になっています。

学校を選ぶときは、授業や大学合格実績に目が行きがちです。しかし、入学後の六年間には、教室の外で過ごす時間もあります。そこで何を経験させようとしているのか。学校の考え方は、こういう行事にも出るものです。

中学一年生の七月ですから、入学してまだ数か月です。雙葉での生活は、四谷の教室だけで進むわけではありません。山羊を散歩させ、牛に触れ、和紙でうちわを作る。受験生にも、入学後の生活を想像しやすい学校行事だと思います。

雙葉中学校・高等学校「中1夏期学校」

『部・班・会』は活動日で分かれる

雙葉のクラブ一覧には、「部」「班」「会」が並びます。競技の強さや活動の格で分けた呼び名ではありません。学校公式では、活動する曜日によって区別している、と説明されています。

部は月曜から土曜のうち各クラブが定めた曜日、班は土曜、会は月曜から金曜のうち定めた曜日に活動します。生徒は全員がいずれか一つに入り、どのクラブも中学生と高校生が一緒です。活動日が重ならなければ、二つに所属することもできます。

だから、一覧にある名前だけでは活動の形は分かりません。バスケットボールは部と班の両方があり、英語演劇部とは別に英語会もある。同じ競技や分野でも、参加の仕方は一つではないのです。何をするかだけでなく、週のどこに置くかまで含めて選ぶ仕組みです。

ここに六年間の学校生活が見えます。中高が同じクラブで活動する一方、一つの部に集中する道も、土曜の班と平日の会を組み合わせる道も残されている。全員参加ですが、全員を同じ活動量にはしていません。

私は、クラブ選びを名前の好みだけで考えないところが雙葉らしいと思います。授業やほかの活動とどう並べるかを考え、自分の一週間をつくる。「部・班・会」という三つの呼び方は、その選び方まで示しています。

雙葉中学校・高等学校「委員会・クラブ活動」

雙葉の社会、資料と知識をつなぐ

発電量の統計から数字を一つ読めても、それだけでは答えにならないことがあります。雙葉の社会には、資料から分かる事実に加え、なぜその違いが生まれるのかを文章で答える設問があるからです。

2023~2026年度の問題では、地理・歴史・公民が広く扱われています。用語や記号を選ぶ設問だけではありません。地図、統計、発電量、交通や物流、災害、国際関係、政治制度などの資料を読み、そこから分かることや理由を記す問題が確認できます。

題材は毎年同じではありません。2024年度には温室効果ガスと国際社会、2025年度には物流や一票の格差、2026年度には防災、国際機関、戦争と資源に関する問題がありました。新しい出来事の名前を知っているかだけではなく、地理・歴史・公民で学んだ内容と結びつける構成です。

こうした記述答案には、二つの層があります。一つは、グラフの増減や地図の位置など、資料から実際に読めること。もう一つは、その理由になる知識です。理由だけを書けば資料を使った答えにならず、数字の違いだけを書けば「なぜ」まで届きません。設問によって形は変わっても、この二つを混ぜずにつなぐところに答案の特徴があります。

私は、雙葉の社会を時事用語の暗記で片づけない方がよいと思います。今の社会で起きていることを、地理の条件、歴史の流れ、政治の仕組みの上に置き直す。ニュースを覚えているかではなく、資料と知識の間に一本の筋を通せるかを問う社会です。

雙葉中学校・高等学校「入試案内」

入学祝いに聖書を受け取る

雙葉の中学一年生は、入学祝いとして聖書を受け取ります。2026年5月の聖書祝福式では、司祭である校長が祝福した聖書が生徒に渡されました。新しい教科書の一冊、という扱いではありません。入学後の学校生活を示す贈り物です。

別の日には、学年全員で初めてのミサにあずかりました。音楽の授業で練習した聖歌を三部合唱し、入学式で聞いた校歌と「雙葉の聖母」も歌っています。宗教行事と普段の授業が、ここで切れずにつながっています。

雙葉はカトリックの学校で、宗教の授業を全学年に毎週一時間置いています。キリスト教の考え方を知り、そこから社会やさまざまな人の生き方を考える授業です。入信を求めるのではなく、信教の自由を尊重することも学校は明記しています。

私は、聖書を入学祝いにするところに、この学校のはっきりした姿勢があると思います。学校が大切にする考え方を、まず一冊の本として手渡す。しかも、その後には週ごとの授業と日々の祈りが続きます。

学校選びでは、英語や数学の時間数に目が向きやすいものです。しかし雙葉の六年間を考えるなら、宗教は時間割の端にある一科目ではありません。何を大切にして人と接するのか。その問いを、入学した春から持ち続ける学校なのです。

雙葉中学校・高等学校「トピックス」
雙葉中学校・高等学校「教育課程」
雙葉中学校・高等学校「校長挨拶」

途中の式を書かない子

算数の答案で、答えは合っているのに、途中がほとんど書かれていないことがあります。頭の中で考えたから書く必要はない、ということなのでしょう。しかし、間違えたときにその答案を見ても、どこからおかしくなったのかがわかりません。

雙葉の算数には、答えだけでなく、途中の考え方を残せる解答欄があります。だからといって、大きな欄を全部埋めなければいけない、という話ではない。必要な式や図を書き、自分が何を求めているのかを確かめながら進む。そのための場所だと考えた方が良いでしょう。

過去問をやると、早く答えを出そうとして、計算だけが次々に並ぶことがあります。あとで見直すと、その数字が速さなのか、時間なのか、自分でもわからない。計算が合っていても、別のものを答えてしまうこともあります。これでは、考え方が途中まで合っていても、最後までつながりません。

式を書いたら、その式で何を出したのかがわかるようにしておく。図形なら、問題に書かれている長さや角度を図に移してから考える。たくさん書く必要はありません。自分であとから見て、考えをたどれるだけのものが残っていれば良いのです。

これは、入試の日だけ急にできるようにはなりません。普段の計算や過去問で、式と図を残す。答えが違ったら、その紙を見て、どこで考え違いをしたのかを確かめる。そういう直し方を続けてください。

解答欄が大きいから、長い説明を書こうと考える必要はありません。何を考え、どの式を使い、どう答えまで進んだのか。それが自分にも採点する先生にもわかる答案を、普段から作っておく、ということです。

全員がフランス語を学ぶ時間

中学校の教育課程に「仏語」が入っています。雙葉では、英語に加えてフランス語を全員が学びます。語学が得意な生徒だけの選択授業ではありません。

これは、外国語の種類を一つ増やした、というだけの話ではないでしょう。雙葉は、設立母体の修道会による語学教育を受け継いでいます。英語を着実に積み重ねながら、もう一つの言葉にも全員が触れる。学校の歴史が、現在の教育課程に残っているのです。

まだフランス語に関心を持ったことのない子もいるでしょう。しかし、入学前から好きなものだけを選ばせるのではなく、知らなかった言葉と出会う機会を学校が用意する。ここに意味があります。言葉が変われば、ものの呼び方も文の組み立ても変わります。

雙葉は教育の中で、広い視野と国際性を養うことを掲げています。それを特別な機会だけに任せず、全員が受ける授業に置いているところが雙葉らしい。高校では、外国語として英語かフランス語のいずれかを必修とする課程も用意されています。

子どもの関心は、最初から決まっているわけではありません。全員がフランス語を学ぶ時間は、本人がまだ選んでいない世界を、学校が先に開いておく時間なのだと思います。

雙葉中学校・高等学校「教育課程」

【雙葉中学校】2017年度 解説動画 公開のお知らせ

雙葉中学校 2017年度の過去問解説動画 全93本を公開しました。

算数 12本 / 国語 32本 / 理科 16本 / 社会 33本

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視聴方法

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問題の答え合わせをすると、解答解説とあわせて、各小問ごとに解説動画が表示されます。ぜひ過去問学習にお役立てください。