2024年 豊島岡 第1回 理科2です。
次のような2つの反応をふまえ、実験を行いました。以下の問いに答えなさい。
反応1 :水酸化ナトリウム水溶液と塩酸が反応すると、水と塩化ナトリウムができます。
反応前と反応後の関係は次の通りです。
反応2:炭酸水素ナトリウム水溶液と塩酸が反応すると、水と塩化ナトリウムと二酸化炭素の3つができます。反応前と反応後の関係は次の通りです。ただし、二酸化炭素については体積を表記しています。
【実験】
水酸化ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを水に溶かして水溶液Aとした。水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、できた二酸化炭素の体積を調べた。
(1)水酸化ナトリウム水溶液と炭酸水素ナトリウム水溶液には、共通した以下の3つの性質があります。
・ アルカリ性である。
・ 固体の物質が溶けている。
・ 水溶液は電気を通す。
次の水溶液あ~おのうち、上の3つの性質と1つも同じものがない水溶液を1つ選び、記号で答えなさい。
あ。石灰水 い。砂糖水 う。ホウ酸水
え。アルコール水溶液 お。酢酸水溶液
(2)以下の①、②それぞれの水溶液にBTB液を加えたときの色として最も適切なものを、次のあ~えからそれぞれ1つずつ選び、記号で答えなさい。
① 水溶液Aに塩化水素25g分の塩酸を加えた水溶液
② 水溶液Aに塩化水素40g分の塩酸を加えた水溶液
あ。赤色 い。緑色 う。青色 え。黄色
(3)水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていくとき、はじめに反応1だけが起こり、水酸化ナトリウムがすべて反応したあとに反応2が起こるとします。このとき、水溶液Aをつくるために加えた炭酸水素ナトリウムの重さは何gですか。四捨五入して整数で求めなさい。
(4)(3)のとき、水溶液Aをつくるために加えた水酸化ナトリウムの重さは何gですか。四捨五入して整数で求めなさい。
(5)水溶液Aの水酸化ナトリウムがすべて塩化水素と反応した時点を「点P」と呼ぶことにします。点Pは反応1が終わった時点であり、反応2が起こり始めた時点でもあり、さらに、炭酸水素ナトリウムがほぼ完全に残っている時点と考えることができます。
次の文あ~おのうち、それぞれの文中の仮定が正しいとしたときの点Pの考察として適する文を2つ選び、記号で答えなさい。
あ。水溶液中に塩化水素が少しでも残っていたら刺激臭を感じることができると仮定すると、水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、刺激臭を感じた時点が点Pといえる。
い。塩化ナトリウムが水に溶けないと仮定すると、水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、白いにごり(溶け残り)が見られた時点が点Pといえる。
う。二酸化炭素が水に溶けないと仮定すると、水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、気体の発生が見られた時点が点Pといえる。
え。溶けている物質は変化させずに、水酸化ナトリウム水溶液の色だけを赤色にすることができる薬品があると仮定すると、この薬品を加えた水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、赤色が消えた時点が点Pといえる。 。
お。溶けている物質は変化させずに、炭酸水素ナトリウム水溶液の色だけを赤色にすることができる薬品があると仮定すると、この薬品を加えた水溶液Aに塩酸を少しずつ加えていき、赤色が消えた時点が点Pといえる。
【解説と解答】
(1)
アルカリ性でないもの→いうえお
↓
溶質が固体でないもの→えお
↓
水溶液が電気を通さないもの→え(アルコール水溶液)
から
(答え)え
(2)
① 塩化水素を25g加えたところでは、まだ二酸化炭素が発生している途中なので、アルカリ性。
② 塩化水素を40g加えたところでは、すでに二酸化炭素の発生が終わってしまっているので、塩酸が多く残っているから酸性。
(答え)① う ② え
(3)
二酸化炭素は6Lしか出ないので、反応2の式で4分の1になるので炭酸水素ナトリウムも4分の1です。
(答え)21g
(4)最初に反応1が起こるので、塩化水素30gを入れた時点で、二酸化炭素が2L発生しているから、使われた塩化水素は12分の1の3gだから、水酸化ナトリウムの中和に使われた塩化水素は30ー3=27g。
反応1から水酸化ナトリウム:塩化水素=40:36=10:9なので27÷9×10=30g
(答え)30g
(5)
あ→塩酸はなくなってしまうので、塩酸がなくなればつねに刺激臭がなくなりますから×。
い→最初に塩化ナトリウムができていくので、×。
う→二酸化炭素が発生し始めると反応2が始まったときですから○。
え→水酸化ナトリウムが消えたところで、反応2が始まりますから○。
お→炭酸水素ナトリウムがなくなると、すべての反応が終わったときになるので×。
(答え)う・え
この問題の動画解説