問題
2.次の文章を読んで、以下の各問いに答えなさい。
お菓子や海苔など食品の袋の中に「たべられません」と書かれた小さな袋が入っているのを見たことがあると思います。これは、食品の鮮度を保つための乾燥剤や脱酸素剤(右図参照)とよばれているものです。
クッキーや煎餅、海苔などの水分量の少ない食品は、空気中の水分を吸収してしまいます。水分を吸収したこれらの食品は、湿気った状態となり、サクサク・パリパリとした食感が失われてしまいます。食品を湿気らせないために用いられるのが乾燥剤です。
乾燥剤には、石灰乾燥剤やシリカゲルなどが用いられます。石灰乾燥剤に用いられる①生石灰は、水と化学反応して消石灰となります。生石灰は湿気を吸収する力が非常に強く、空気中の湿度に関わらず常に自重の30%まで空気中の水分を吸収し、一度消石灰になると元の生石灰に戻すことは非常に困難です。また、生石灰は強いアルカリ性の物質であり、②水と化学反応すると激しく発熱するため、皮膚に付着したり目や口に入ったりすると大変危険なので、取り扱いには注意する必要があります。
シリカゲルは透明な袋に入ったつぶ状の乾燥剤で、純度の高い二酸化ケイ素からできています。③シリカゲルの表面には目で見えないほどの多数の小さい穴があいていて、この穴に空気中の水分が取り込まれることによって乾燥します。
パウンドケーキやフィナンシェ、マドレーヌなどのしっとりとしたお菓子の袋の中には脱酸素剤が入っています。④脱酸素剤は食品の鮮度を保つために用いられます。脱酸素剤には、⑤鉄粉と⑥食塩と活性炭などの混合物が使われていて、⑦鉄粉が酸素と化学反応することで、食品中の酸素を取り除きます。これは使い捨てカイロと同じしくみです。
また、最近では、切り餅やパックご飯のように包装容器やフィルム自体に酸素を吸収するはたらきをもつものが用いられています。このような乾燥剤や脱酸素剤の発展は、食品の鮮度やおいしさを保つだけではなく、フードロスの削減につながる大切な取り組みといえます。
問1 下線部①について、生石灰、消石灰、石灰石は、それぞれ酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムのことで、いずれも白色の固体です。また、石灰水は消石灰を水に溶かした水溶液のことです。生石灰、消石灰、石灰石について誤りを含むものを次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア それぞれの固体を少量とり、水に入れたとき、溶けないものは2種類である。
イ それぞれの固体を少量とり、水に入れ、そこにフェノールフタレイン溶液を1滴加えると色が変化するものは、2種類である。
ウ 石灰石にうすい塩酸を加えて発生する気体は、空気よりも重い。
エ 消石灰の粉末に塩化アンモニウムの粉末を混ぜて加熱すると、刺激臭の気体が発生する。問2 下線部②について、この反応による発熱を利用して、加熱器具がなくても温められる弁当が市販されています。弁当の内容物が240gで、弁当の内容物1gを1℃温度上昇させるのに必要な熱量が0.9カロリーとすると、20℃の弁当を60℃まで加熱するのに必要な生石灰は何gですか。生石灰1gあたり270カロリー発熱するものとして計算し、必要であれば四捨五入して整数で答えなさい。ただし、この反応による熱はすべて弁当の内容物に伝わり、その他のものには伝わらないものとします。
問3 下線部③について、次の文章を読んで、下の(1)、(2)に答えなさい。
シリカゲルには水の吸着のしくみの違いからA型とB型の2種類があります。シリカゲルを十分にその湿度の空気中に放置したとき、乾燥時の重さに対する吸収した水の重さを吸収率といい、A型とB型の性質のちがいを表しています。A型は、乾燥時の重さの40%程度の水を吸収すると、それ以上の水を吸収しなくなります。一方、B型は、低湿度の空気中ではA型よりも吸収率が小さいですが、高湿度の空気中ではA型よりも吸収率が大きくなります。
(1) A型シリカゲルの吸収率と湿度の関係を表したグラフとして最も適当なものを下のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
(2) B型シリカゲルの吸収率と湿度の関係を表したグラフとして最も適当なものを下のオ〜コから1つ選び、記号で答えなさい。問4 下線部④について、脱酸素剤が食品の鮮度を保てる理由として誤りを含むものを次のア〜エから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 食品中に含まれるビタミンや油などの酸化を防ぐ。
イ 食品中に含まれる有害物質を取り除く。
ウ 食品に付着したカビの増殖を抑える。
エ 食品の風味や色の変化を抑える。問5 下線部⑤について、鉄の性質として誤りを含むものを次のア〜オから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 磁石を近づけると、磁石に引き寄せられる。
イ 血液中に含まれる赤血球の色素であるヘモグロビンの成分である。
ウ 電気や熱をよく通す。
エ 水酸化ナトリウム水溶液に入れると、気体を発生せずに溶ける。
オ うすい塩酸に入れると、上方置換で集められる気体を発生しながら溶ける。問6 下線部⑥について、食塩の性質として誤りを含むものを次のア〜オから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 食塩水は、砂糖水よりも電気を通しやすい。
イ 塩酸と水酸化ナトリウム水溶液をちょうど中和して、水を蒸発させると食塩が得られる。
ウ 赤色リトマス紙に食塩水をつけると青色に変化する。
エ 氷に食塩を混ぜると温度が下がる。
オ 食塩の溶解度は、ホウ酸の溶解度に比べて、温度を変化させてもあまり変化しない。問7 下線部⑦について、脱酸素剤が酸素と反応することを確かめるために、次のような実験を行いました。下の(1)、(2)に答えなさい。
操作1 未使用の脱酸素剤を図のようなピストンつき容器に入れて、ピンチコックを閉じた。
操作2 ピストンには触らずに、十分に静置した。このとき、容器内の温度は操作1のはじめのときと同じであった。
操作3 ピンチコックを開き、ピストンを押して容器の気体を水上置換で集めた。
(1) 操作2のときのピストンの位置はどのように変化しますか。最も適当なものを次のア〜ウから1つ選び、記号で答えなさい。
ア Xの方向に動いた。 イ Yの方向に動いた。 ウ ピストンは動かなかった。
(2) 操作3で集めた気体について最も適当なものを次のア〜オからすべて選び、記号で答えなさい。
ア この気体を石灰水に通すと、石灰水は白くにごる。
イ この気体の中に火のついたろうそくを入れると、ろうそくの火は消える。
ウ この気体の中に火のついた線香を入れると、線香の火は強くなる。
エ この気体に水素を混ぜて火のついたマッチで点火すると、ポンという音を立てて燃える。
オ この気体は空気よりもわずかに重い。海城 2023年度入学試験 理科 大問2から引用 海城 2023年度入学試験 理科 大問2から引用
出典:海城中学校『2023年度入学試験問題 理科』大問2(問題図・表を含む)
解答:問1 ア
問2 32
問3 (1) ウ (2) オ
問4 イ
問5 エ
問6 ウ
問7 (1) イ (2) イ
この大問は、乾燥剤の性質から脱酸素剤の実験へ進みます。問1では、生石灰、消石灰、石灰石を区別します。生石灰は水と反応して消石灰となり、消石灰は水に一部溶けます。石灰石は水に溶けないので、「溶けないものは2種類」としたアが誤りです。水に入れた生石灰と消石灰はアルカリ性を示し、フェノールフタレイン溶液が変色します。二酸化炭素の重さとアンモニアの刺激臭も、それぞれの反応から判断できます。
問2は、弁当が受け取る熱量を先に求めます。温度差は60−20=40℃ですから、240×0.9×40=8640カロリー。生石灰1gが270カロリーを出すので、8640÷270=32gとなります。
問3のA型は、湿度が上がるにつれて吸収率が増え、約40%で頭打ちになるウです。B型はA型の曲線と比べます。低湿度ではA型より下、高湿度ではA型より上になる曲線を選ぶのでオです。
問4からは脱酸素剤です。酸素を取り除けば、ビタミンや油の酸化、カビの増殖、風味や色の変化を抑えられます。しかし、有害物質そのものを除く働きではないため、誤りはイです。問5の鉄は、ふつう水酸化ナトリウム水溶液には溶けないのでエ。磁石に引かれ、電気や熱を通し、うすい塩酸とは水素を出して反応します。問6の食塩水はほぼ中性で、赤色リトマス紙を青色に変えません。したがってウです。食塩水の電気の通しやすさ、中和、氷に混ぜたときの温度、溶解度の温度変化についての説明は正しいものです。
問7では、鉄粉が容器内の酸素を消費します。操作の前後で温度が同じですから、酸素が減った分だけ気体の体積が小さくなり、ピストンは容器の内側であるY方向へ動きます。(1)はイです。残る気体は主に窒素で、燃焼を支えません。その中ではろうそくの火が消えるため、(2)もイだけが当てはまります。


