女子学院中2023年度理科 酢酸の性質と混合物の分離

問題

1 食酢は、主に酢酸という液体が水に溶けた水溶液である。

(1)酢酸のように水に溶ける液体の物質を1つ答えなさい。

(2)水溶液は水に物質が溶けたものであるが、固体や液体の物質が水に溶けないときには、それぞれどのようなことが観察されるか、答えなさい。

(3)次のア〜オの文から正しいものを選びなさい。
ア 食酢にさびた銅板を入れても変化がない。
イ 食酢に卵の殻を入れると泡を出して溶ける。
ウ 食酢に生の魚の切り身を入れると白くなって固まる。
エ BTB液を加えた酢酸の水溶液にうすい塩酸を加えていっても、色は変化しない。
オ 酢酸の水溶液を加熱すると白い粉が残る。

(4)液体から固体になる温度は、水は0℃、酢酸は17℃であるが、液体を冷やし続けて固体になるまでの温度変化のグラフは水も酢酸も同じような形になる。液体の酢酸を冷蔵庫の中で静かに冷やし続け、冷やした時間と酢酸の温度との関係を調べたところ、下のグラフのようになった。このとき、17℃を下回ったのに固体が見られず、あるところ(図中のA点)で一気にこおり始めた。グラフから考えて、次のア〜オから間違っているものを選びなさい。
ア 17℃より低い温度の固体は存在しない。
イ 液体だけのときは冷やしていくと温度が下がる。
ウ 液体から固体になるときに周りに熱を出す。
エ AB間は液体と固体が混ざっている。
オ B点で完全に固体になった。

2 ガラスの粉、食塩、アルミニウムの粉が混ざったものを下図のようにして分けた。
図中の白い粉C、D、Eはそれぞれ異なる1種類の物質であった。

(1)操作1〜3にあてはまるものを次のア〜キから選びなさい。
ア 水を加えて混ぜ、ろ過する。
イ 石灰水を加えて混ぜ、ろ過する。
ウ うすい塩酸を加えて混ぜ、ろ過する。
エ 試験管に入れてお湯であたためる。
オ 蒸発皿に入れて加熱する。
カ 冷蔵庫で冷やす。
キ 小さな結晶をつるし、1時間放置する。

(2)白い粉C、Dはそれぞれ何か、次のア〜ウから選びなさい。
あてはまるものがないときは×を書きなさい。
ア ガラス  イ 食塩  ウ アルミニウム

(3)白い粉Eについて、正しいものを次のア〜オから選びなさい。
ア 水に溶ける。  イ 水に溶けない。
ウ 泡を出しながら塩酸に溶ける。  エ 泡を出さずに塩酸に溶ける。
オ 塩酸に溶けない。

(4)実験前のガラスの粉、食塩、アルミニウムの粉が混ざったものの重さは全部で12.0gであった。ろ液Aをしばらく放置したところ、1.0gの白い粉Cが沈殿し、20gの水溶液が残っていた。操作3、4で得られた白い粉Dの重さは3.5g、白い粉Eの重さは9.9gであった。実験前に含まれていたアルミニウムの重さは全体の何%か、小数第1位を四捨五入して整数で答えなさい。ただし、この実験は20℃で行い、白い粉Cは20℃の水100gに38g溶けるものとする。

液体の酢酸を冷やした時間と温度の関係を示すグラフ。温度がA点まで下がった後、B点まで急上昇し、その後しばらく一定になってから再び下がる。
女子学院 2023年度入学試験 理科 IIIから引用
ガラスの粉、食塩、アルミニウムの粉の混合物を、操作1〜4によってろ液A、白い粉C、ろ液B、白い粉D、白い粉Eに分ける流れ図。
女子学院 2023年度入学試験 理科 IIIから引用

出典:女子学院中学校『2023年度入学試験問題 理科』III(問題図・表を含む)

解答:1 (1)アルコール (2)固体:うくものやしずむものがある。 液体:水と分離する。 (3)イ、ウ、エ (4)ア、オ
2 (1)1:ア 2:オ 3:ウ (2)C:イ D:ア (3)ア、エ (4)17

前半は酢酸水溶液の性質です。水に溶ける液体の例はアルコール。水に溶けない固体は、水との密度の違いなどによって浮くか沈みます。水に溶けない液体は混ざらず、境界のある別の層になります。

卵の殻は食酢と反応し、泡を出しながら溶けるのでイ。魚のたんぱく質は酸によって変性し、白く固まるのでウです。酢酸水溶液も塩酸も酸性ですから、塩酸を加えてもBTB液の色は変わらず、エも正しい。さびた銅板には変化が起こり、酢酸水溶液を加熱しても白い粉は残りません。

温度のグラフでは、A点まで液体のまま17℃より低くなる過冷却が起きています。A点でこおり始めると、凝固熱を周囲へ出すため温度が上がります。B点から続く一定温度の区間は液体と固体が混ざった状態。全部が固体になるのはその区間の終わりで、その後は17℃より低くなります。誤りはアとオです。

後半は物質による溶け方の違いを使います。操作1で水を加えると食塩だけが溶けるので、ろ過してガラス、アルミニウムと分けます。ろ液Aを蒸発皿で加熱して得るCは食塩です。ろ紙に残った二つにうすい塩酸を加えると、アルミニウムだけが溶け、ガラスがDとして残ります。操作1、2、3は順にア、オ、ウ。Cはイの食塩、Dはアのガラスです。

Eは、アルミニウムが塩酸と反応してろ液Bへ移ったあとに得られた物質で、アルミニウムそのものではありません。水に溶け、塩酸にも泡を出さずに溶けるため、アとエを選びます。

最後は20gを水だけの重さとしないこと。20℃では水100gに食塩38gが溶けるので、飽和水溶液138g中に食塩は38gあります。20gの水溶液では20×38÷138≒5.51g。沈殿した1.0gを加え、初めの食塩は約6.51gです。ガラスはDの3.5gですから、アルミニウムは12.0-3.5-6.51≒1.99g。1.99÷12.0×100≒16.6%となり、四捨五入して17%です。Eの9.9gは塩酸との反応でできた別の物質の重さなので使いません。