問題
1.電熱線に関する次の文を読み、以下の各問いに答えなさい。なお、問題で扱う電熱線は、どれも同じ素材で作られたものとします。
電気ストーブやヘアドライヤー、調理に使うホットプレートなどの身近な家電製品では、電気的なエネルギーを熱に変えるために電熱線が使われています。
まず、電熱線に流れる電流について考えます。電源を電熱線に接続したとき、電源がもつ、電流を流そうとするはたらきによって電流が流れます。このはたらきの強さを数値化したのが「電圧」であり、Vという単位で測ります。同じ電圧をかけるとき、同じ素材で作られた電熱線に流れる電流は断面積に比例し、長さに反比例します。ここでいう「断面積」とは、電熱線を長さ方向に対して垂直に切ったとき、つまり図1で破線のような方向に切ったときに現れる断面の面積のことです。また、同じ素材で作られた、長さと断面積がともに同じである電熱線に流れる電流は、その両端にかける電圧に比例します。
同じ長さで断面積が異なる、断面が円形の電熱線aとbを用意します。なお、電熱線bの断面の直径は電熱線aの2倍です。いま、電熱線aに10 Vの電圧をかけたところ、0.5 Aの電流が流れました。
問1 電熱線bの断面積は、電熱線aの何倍ですか。また、電熱線bに10 Vの電圧をかけたとき、流れる電流はいくらですか。それぞれ必要であれば四捨五入し、小数第2位まで答えなさい。
次に電熱線aと電熱線bを、図2のように接続して、その両端に20 Vの電圧をかけた場合を考えます。このとき、電熱線aと電熱線bにはそれぞれ20 Vの電圧がかかります。そのため、電熱線aには1 A、電熱線bには問1で求めたものの2倍の電流が流れ、電源から流れ出す電流はこれらの和になります。
電熱線aと同じ断面積で長さが10倍の電熱線cを曲げて、長辺と短辺の長さの比が3:2となるように長方形を作り、端どうしを電気が通るように接続します。図3のように、1つの短辺の両端に20 Vの電圧をかけて電流を流すことにします。
問2 図3のように接続したとき、電源から流れ出す電流はいくらですか。必要であれば四捨五入し、小数第2位まで答えなさい。
最後に、電熱線から発生する熱で、ものを加熱する実験を考えます。図4のような装置を組み立てて、テーブルの上に置き、新しく用意した電熱線dに10 Vの電圧をかけて電流を流してコップと水を温めていきます。仮に、電熱線で発生した熱がすべてコップと水の温度上昇に使われたものとすれば、一定の電圧をかけて電流を流すとき、1秒あたりに上昇する温度は、(「電圧」×「電流」)の値に比例します。その結果、コップと水の温度は図5のように変化すると考えられます。なお、この実験では水の量は変えないものとし、蒸発は起こらないものとします。
問3 電熱線dにかける電圧を20 V(もとの2倍)にしたとき、次の(1)、(2)の値はそれぞれもとの何倍になると考えられますか。整数もしくは既約分数で答えなさい。
(1) 電熱線dを流れる電流
(2) 1秒あたりに上昇する温度問4 電熱線dを用いて、はじめに30 ℃であったコップと水を加熱する場合を考えます。発生した熱はすべてコップと水が得るものとしたとき、250秒間で40 ℃にするためには電熱線dにかける電圧はいくらにする必要がありますか。最も適当なものを次のア〜オから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 6 V イ 10 V ウ 14 V エ 18 V オ 22 V問5 図4のような装置でコップと水を温めると、実際には発生した熱のすべてをコップと水が得られるわけではなく、その一部を得ることになります。その結果、電熱線dに5 Vの電圧をかけて1000秒間加熱したとき、はじめに30 ℃であったものが34 ℃になりました。なお、コップと水は加熱をはじめてから得た熱の量に比例して温度が上昇します。このことから考えると、コップと水が得た熱の量の割合は、発生した熱の量の何%ですか。必要であれば四捨五入し、整数で答えなさい。
問6 問5の実験は、室温20 ℃の室内でおこないました。問5とは異なり、はじめ10 ℃であったコップと水を、問5と同じ室温のもとで同じ電圧で同じ時間だけ加熱しました。次の(1)、(2)に答えなさい。
(1) このとき、コップと水の温度はどのようになると考えられますか。最も適当なものを次のア〜ウから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 14 ℃ イ 14 ℃より低い ウ 14 ℃より高い
(2) (1)となる理由を説明した次の文中の【 A 】および【 B 】内をそれぞれ5〜10字で補い、文を完成させなさい。
問5の場合は、加熱している間にコップと水が室内の空気から【 A 】のに対して、問6の場合は室内の空気から【 B 】ため。海城 2026年度入学試験 理科 大問1から引用 海城 2026年度入学試験 理科 大問1から引用 海城 2026年度入学試験 理科 大問1から引用 海城 2026年度入学試験 理科 大問1から引用
出典:海城中学校『2026年度入学試験問題 理科』大問1(問題図・表を含む)
解答:問1 断面積 4、電流 2
問2 0.63
問3 (1) 2 (2) 4
問4 ウ
問5 80
問6 (1) ウ (2) A 熱をうばわれる B 熱を得られる
問1では、直径が2倍だから断面積も2倍、としないことが出発点です。円の断面積は直径の2乗に比例するので、電熱線bの断面積はaの2×2=4倍。長さと電圧が同じなら電流は断面積に比例するため、bに流れる電流は0.5A×4=2Aです。
問2は、長方形になった電熱線cを一続きの線としてたどります。全体の長さを10とすると、長辺は3、短辺は2。電源をつないだ二点の間には、短辺だけを通る長さ2の経路と、残りの三辺を通る長さ3+2+3=8の経路が並列に並びます。各経路はaの長さの2倍と8倍です。20Vでaに1A流れることを基準にすれば、電流は1/2Aと1/8A。合計は0.625Aですから、答えは0.63Aになります。
この電流の関係が問3の発熱へつながります。同じ電熱線dでは、電圧を2倍にすると電流も2倍です。1秒あたりの温度上昇は「電圧×電流」に比例するので、2×2=4倍。つまり、同じ電熱線なら発熱の速さは電圧の2乗に比例します。
問4では、図5から10Vで1000秒加熱すると20℃上昇することを読み取ります。30℃から40℃までの10℃上昇を250秒で起こすには、1秒あたりの温度上昇をその2倍にしなければなりません。発熱の速さは電圧の2乗に比例するため、必要な電圧は10×√2で約14V。答えはウです。
問5は、理想的な温度上昇と実際の結果を比べます。電圧を10Vから5Vにすると、発熱の速さは1/4です。したがって、1000秒後の理想的な温度上昇は20℃の1/4で5℃。実際には30℃から34℃までの4℃上昇したので、コップと水が得た熱の割合は4÷5×100=80%です。
問6では、室温20℃との関係が変わります。問5は30℃から始まるため、コップと水は室内の空気に熱をうばわれます。問6は10℃から始まり、室温より低いので、空気からも熱を得られます。その分、同じ4℃だけ上昇した14℃より高くなり、(1)はウです。(2)のAは「熱をうばわれる」、Bは「熱を得られる」。最後は計算ではなく、熱がどちらへ移るかを確かめる問題です。




