豊島岡中2024年度理科 ヘリウム風船にはたらく浮力と到達高度

問題

以下の問いに答えなさい。

ヘリウム風船から手を放すと、空高く上がっていきますが、この風船はどこまで上がるのでしょうか。以下の例で考えてみましょう。ただし、風船からヘリウムが抜けることはなく、風船が割れることはないものとします。

図1のように、地表でのヘリウムを含んだ風船全体の重さが5g、体積が5Lのヘリウム風船があります。この風船にはたらく浮力は、風船が押しのけた空気の重さと等しくなります。1Lあたりの重さを密度といい、地表での空気の密度は1.23g/Lです。高度が上がると、空気はうすくなり、地表からの高度と空気の密度は図2のような関係となります。

このとき、風船にはたらく重力と浮力が等しくなる高さまで風船は上昇するものと考えることにします。

まずは、変形しない風船の場合を考えてみましょう。体積が5Lのまま変わらない風船Aがあります。

(1)地表からの高度と風船Aにはたらく浮力の大きさの関係として、正しいものを以下の中から1つ選び、あ〜きの記号で答えなさい。

(2)風船Aが到達する最高の高度として最も近いものを、次のあ〜かの中から1つ選び、記号で答えなさい。 あ.2km い.4km う.6km え.8km お.10km か.10kmでも風船は上昇を続ける

次に、風船が非常に柔らかい素材でできており、体積が自由に変えられる場合を考えてみましょう。体積が自由に変えられ、風船の内外の圧力(気体が押す力)が常に等しい風船Bがあり、地表での体積は5Lでした。高度が上がったときの、地表からの高度と風船Bの体積は図3のような関係となります。

(3)図3のように、高度が高くなると風船が膨らみます。風船が膨らむ原因を説明した文として正しいものを、次のあ〜えの中から1つ選び、記号で答えなさい。 あ.ヘリウムの温度が上がって体積が大きくなり、さらに空気の圧力も大きくなるから。 い.ヘリウムの温度が上がって体積が大きくなり、さらに空気の圧力も小さくなるから。 う.ヘリウムの温度が下がって体積が小さくなるが、それ以上に空気の圧力が大きくなることの影響の方が大きいから。 え.ヘリウムの温度が下がって体積が小さくなるが、それ以上に空気の圧力が小さくなることの影響の方が大きいから。

(4)地表からの高度と風船Bにはたらく浮力の大きさの関係として、正しいものを以下の中から1つ選び、あ〜きの記号で答えなさい。

(5)風船Bが到達する最高の高度として最も近いものを、次のあ〜かの中から1つ選び、記号で答えなさい。 あ.2km い.4km う.6km え.8km お.10km か.10kmでも風船は上昇を続ける

実際の風船では、伸びたゴムが縮もうとする性質により、風船Bのような体積の変化はしません。これを考慮した風船Cについて考えます。地表からの高度と風船Cの体積は図4のような関係となります。ただし、図4の点線は比較のために描いた風船Bの体積です。

(6)地表からの高度と風船Cにはたらく浮力の大きさの関係として、正しいものを以下の中から1つ選び、あ〜きの記号で答えなさい。

(7)風船Cが到達する最高の高度として最も近いものを、次のあ〜かの中から1つ選び、記号で答えなさい。 あ.2km い.4km う.6km え.8km お.10km か.10kmでも風船は上昇を続ける

大問1の導入文、風船の初期条件を示す図1、高度と空気密度の関係を示す図2
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用
風船Aの条件、浮力グラフの選択肢、および最高到達高度の設問
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用
風船Bの条件、高度と体積の関係を示す図3、および膨張理由の選択肢
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用
風船Bの浮力グラフの選択肢と最高到達高度の設問
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用
風船Cの条件、高度と体積の関係を示す図4、および浮力グラフの選択肢
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用
風船Cの最高到達高度を問う大問1の最終設問
豊島岡 2024年度入学試験 理科 大問1から引用

出典:豊島岡中学校『2024年度入学試験問題 理科』大問1(問題図・表を含む)

解答:(1)か (2)あ (3)え (4)え (5)か (6)お (7)う(参照:JS日本の学校(学校了承掲載)、独立検算済み)

この大問では、浮力を「空気の密度×風船が押しのけた体積」で考えます。風船Aは体積が常に5Lです。地表では1.23×5=6.15g、10kmでは0.4×5=2gですから、高度が上がるにつれて浮力が約6gから2gへ減る「か」になります。風船の重さ5gと浮力が等しくなるのは、空気の密度が5÷5=1.0g/Lのときです。図2では約2kmなので、最高高度に最も近いのは2kmの「あ」です。

風船Bは、高度が上がると膨らみます。ヘリウムの温度低下は体積を小さくする向きにはたらきますが、外の空気の圧力が下がると体積は大きくなります。図3で実際に体積が増えているのですから、外気圧低下の影響の方が大きいと判断できます。(3)は「え」です。

次は、図2の空気密度と図3の体積を同じ高度どうしで掛けます。地表では約1.2×5=6g、2kmでは約1.0×6=6g、10kmでも約0.4×15=6gです。空気はうすくなりますが、その分だけ風船が大きくなるため、風船Bの浮力はほぼ6gで変わりません。(4)は「え」です。この浮力は風船の重さ5gより大きいままなので、(5)は10kmでも上昇を続ける「か」となります。

風船Cでは、伸びたゴムが縮もうとするため、同じ高度の風船Bほど大きくなりません。図2の密度と図4の実線で示された体積を掛けると、浮力は地表の約6gから、10kmの約4gへ下がります。したがって(6)は「お」です。その途中を確かめると、4km付近ではまだ5gより大きく、6km付近で風船の重さ5gとほぼ等しくなります。最高高度に最も近いのは6kmの「う」です。